最近注目を集めている電動アシスト自転車ですが、便利な反面、スピード制限解除や高出力モーターへの交換といった「違法改造」に関するトラブルが急増しています。
こうした違法パーツの使用やカスタムは、「道路交通法」や「道路運送車両法」に違反している可能性があり、事故や摘発、保険の不適用といった重大なリスクを伴います。
この記事では、電動アシスト自転車の違法改造の定義、安全基準、改造による交通違反の事例、そして安心して乗るための正しい知識や選び方を、わかりやすくご紹介します。
違法改造が問題視される背景とは?電動自転車の普及とともに増えるトラブル
坂道や長距離移動を快適にしてくれる電動アシスト自転車。通勤・通学や子育て世帯に広く普及し、街中で見かける機会が増えました。
その一方で、「アシスト制限の解除」や「出力強化」といった違法改造が問題視されています。こうした行為は、自転車の枠を超えて“原付バイク”に該当し、法律違反となります。
特にインターネット通販などで販売されている「違法パーツ」や「制限解除キット」を使って、自分で改造してしまうケースが目立っており、自覚のないまま交通違反をしている人も少なくありません。
電動アシスト自転車における法的基準と違法改造の境界線
電動アシスト自転車は、「道路交通法」「道路運送車両法」で厳格な技術基準が定められています。違反すれば、たとえ自転車と見た目が同じでも法的には“原動機付自転車”と見なされます。
- 時速24km以上でアシスト機能が停止する構造
- ペダル操作を補助する機能に限る
これらを逸脱するスピードリミッター解除や高出力モーターへの改造は、明確な「違法改造」となり、無免許運転や整備不良として処罰されるリスクがあります。
改造による摘発事例と現実のリスク
実際に、違法改造された電動アシスト自転車の使用によって摘発されたケースは多数あります。
たとえば、東京都内で10代の若者がスピードリミッターを解除した電動自転車で走行し、無免許運転で書類送検された例があります。改造パーツはインターネットで購入したもので、「違法とは知らなかった」と話していたそうです。
また、通販サイトで基準を超える出力の電動自転車を販売していた業者が摘発されるケースも増えています。販売者側にも法的責任が及ぶことがある点に注意が必要です。
事故リスク・保険対象外・罰則の現実
違法改造された電動アシスト自転車は、通常の設計を超えた性能を持つため、事故発生のリスクが大幅に高くなります。特に急ブレーキ時の制動距離が延び、重大事故に直結する可能性があります。
さらに、法律違反により無免許運転と見なされ、行政処分や刑事罰の対象になる可能性もあります。
そして見落とされがちなのが「保険の対象外」となる点です。改造車両は自転車保険の適用外と判断されることが多く、万が一の事故時に数百万円単位の損害賠償を自腹で負担するリスクがあります。
違法改造を避けるための正しい選び方とチェックポイント
電動アシスト自転車を安全に選び、長く安心して使うためには、以下のポイントを意識しましょう。
- 型式認定を受けたモデルまたは準拠するモデルを選ぶ
- BAAマーク・TSマークなどの安全基準を確認
- ECサイトや個人売買での購入時は仕様を詳細にチェック
- 改造を促す通販商品や業者には要注意
- 販売店での購入後も定期的に点検を行う
快適性やパワーを求める場合でも、正規のハイグレードモデルを検討することで、違法改造に頼らずに満足度の高い走行が可能です。